- 作者: 古川日出男
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2008/10/03
- メディア: 文庫
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古川日出男が面白いと感じる理由がなんとなーくわかってきた。
実は演劇的な背景が私にもあって、そこがちょっと似てる、、、。
戯曲を書いてた時代の無敵な感覚。彼のナルシスティックなモードは理解できるんだ。
止めどなくナラティブな言葉が湧いて出てくるんです、自分の声(内語)だけじゃない、いろんな人が頭の中で話している。対話もするし、独り言も言ってる。で話を聞いてると"構造体"が把握できてくる。
ちょっと意識すると聞こえて来る。だいぶ具体的な文章がまとまって。聞こえて来る。
妄想?想像?わかんないけど。昔からそうだった。
"構造体"に関しては以前"ベクトルさん"と名付けてどこかに書いた気がする。
感じている事とか、何か言いたいと思っている自分の欲望があって、それはとある"構造体"という幾何学的な立体として把握(イメージ)されていて、そこに無意識から想像された"存在感(キャラみたいな)"がのっかるとセリフになる。
方程式、
(自分でもわからない無意識みたいなブラックホールみたいな)→"構造体≒ベクトルさん"+"存在感(頭の中で鳴ってる声)"= セリフ …私なりの世界把握の方法?
セリフ+セリフ+セリフ+セリフ+セリフ+セリフ…
あれ?それって演劇??とか思って、中学三年のころ私は、お芝居するために高校を決めて。そこに行った。
どんどん書けた。まぁ、よくある物語構造とか何かの小説からの剽窃とか、吉本新喜劇の剽窃とか。切実さはない脚本だったけど。どんどん書いた、水を得た魚のように。
話す速度に近づけようとざくざく脚本書いてるあの疾走感。
ディクテーションのような作業。だって、すでに頭の中で鳴っている声なのです。
練ったりしないでまずは聞き取り、書き出す。そうじゃないと瞬間で消える。
集中してその作業をしていると、恍惚が到来することがあるんだ、これは大分無敵モードになる。
でも次第に高校生の私も、本とか読んだりして。
ちょっとは利口になっていったので、どんどん言葉が複雑になっていくんだ。私の語彙がふえると、話す人も増えて速度もあがっていく。
で、ペンを走らせる速度があまりに愚鈍で絶望するんだ、自分の身体に。
湧き出る言葉のほうがどんどん早くて。
何か大事な事がある気がするのに、身体が追いつかないからあきらめていたんだ。今、あきらめていたんだ。
私は。
だから、彼の試みを読んで、私は。いけないな、閉じては行けないと思った。
高校時代の私にはキーボードがなかった。
タイピングの速度はちょっとうれしい、ほぼ話す速度で書けるから。
もういちど、書いてる。今、実は。
だから、読んでよかったなーこの本。醒めるわ。