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文学・エンタテイメントの嘘

たとえば、テレビで話題になっている健康バラエティの内容偽造の件について。


エンタテイメントにおいては、嘘をついてでも人を楽しませるという方法論がある。いや、むしろ、嘘をいかに演出して鑑賞者の感情を波立たせるかという技術がエンタテイメントの粋であろうと思う。
しかし、放映の最後に「これはフィクションです」という表示をするドラマや、「あぶないのでまねをしないで下さい」と表記するお笑いコントなど、嘘を嘘として楽しんで享受することのできない層に対しての対応(言い訳)がなされているのを見ると、ああ、テレビというマスなメディアというのは大変なんだなぁと同情する。


こちらが設定した“筋書き”に身をゆだねて、感情の赴くまま楽しんで欲しいというある種文学的な希望が、対象がマスになればなるほど、嘘の妥当性や、データの正確さを求められて破綻していく。


「知を得て王国を失う」とはまさにこのことだ。


甘美な嘘もある。くだらなすぎて笑える嘘もある。鑑賞者の気持ちをもりあげる嘘もある。
しかし、上質な嘘をつくには、誠意と苦悩、そして絶望がつきものなのだ。
その苦労に気づかないで、軽率に嘘をつきつづけていると、いずれ顔の見えない閻魔大王が制裁を下しにやってくる(冗談です)。



*)もちろん「健康“情報”番組」だと称して、それを真実だと思い込む筋書きを演出をしていたのならば、今回のデータ捏造は許されるものではない。と思う。インフォメーションで嘘はついてはならない。