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新刊レビュー

最近、新刊レビューをしますと宣言しましたが、レビューしたくなる新刊本がなかなか見当たらない。
今日は、新刊!というほどフレッシュでもないのですが、最近見つけたこの本はなかかな良かったのでお進めします。

ペーパープロトタイピング 最適なユーザインタフェースを効率よくデザインする

ペーパープロトタイピング 最適なユーザインタフェースを効率よくデザインする

ソフトウエアやハードウエアの試作版(プロトタイプ)を紙上に作成する「ペーパー・プロトタイピング」という開発手法を紹介する。コーディングなどの手間を伴う従来のプロトタイプ開発に比べ,紙によるプロトタイプには,改善や改変を受け入れやすい,手軽に多数の選択肢を提示できる,幅広いユーザーからのフィードバックを迅速に得られるなどの利点があるという。本書では,ペーパー・プロトタイピングの概念の説明だけでなく,実際のプロトタイプ作成やレビュー作業の進め方といったテスト作業全般についての指針を提供する。体験談が豊富で単純に読み物としても面白い。

紙を使ったプロトタイプによってコストの大幅削減を図る。もちろんそこにはそれだけではない効果も望めるのです。ペーパープロトタイピングの方法を考え勉強することによって、インタフェースの勉強にもなるという良作。
本のつくり自体は、昔のプログラムマニュアルみたいで、なんか懐かしい雰囲気でした。プログラマー、もしくはインタフェース系のデザイナーは一読の価値アリだと思います。

補足説明:
訳者の説明文@http://www.user-engineering.org/kurosu/cgi-bin-monologue/pmdiary.cgi?mode=htmlview&kijino=348
ペーパープロトタイピングというのはプロトタイピングという手法群の一つで、何らかの課題を解決するための人工物を設計するため、もう少し正確にいえば、本物を作ってしまってから問題が見つかってそれから修正するのでは手戻りが大きくなるので、そのプロトタイプ(原型ですね)を作って問題を見つけ、磨き上げたデザインにしようというアプローチの一つです。プロトタイピング全般でいえば、様々な機器やシステムも対象となりますが、ペーパープロトタイピングは特にコンピュータアプリケーションソフトやWebデザインを効率的に実施するのに向いている手法といえます。つまり、アプリケーションソフトなどの画面インタフェースの原案をまずは紙に(一般的には手書きで)さらさらっと書いて、それをユーザに見せ、どのように行動するかを見ながら問題の所在を明確にしようというわけです。


プロトタイプを示してそのプロトタイプに含まれる問題の所在を明らかにしようというユーザビリティテストの場面は、心理学でいう問題解決場面に近く、その意味で、ユーザがプロトタイプを使って課題を解決していこうとするプロセスを観察し、そこに問題点を見いだしていこうとする点で認知心理学との親近性があります。また、その場面は、自然観察ではありませんが、実験観察場面といってもよく、質的な方法論が適用できる、というか定量的にデータを処理するだけのサンプル数は取れないのが普通であり、ユーザの行動を観察し、質問を行い、深堀りをしながら問題点を明らかにすることになるわけです。



作者の他の著書

Webサイトユーザビリティ入門―ユーザーテストから発見された「使いやすさ」の秘密 (Webサイト入門シリーズ)

Webサイトユーザビリティ入門―ユーザーテストから発見された「使いやすさ」の秘密 (Webサイト入門シリーズ)

  • 作者: ジャレッド・M.スプール,W.シュローダー,T.デアンジェロ,T.スキャロン,C.シュナイダー,Jared M. Spool,Will Schroeder,Terri DeAngelo,Tara Scanlon,Carolyn Snyder,篠原稔和,三田仲人
  • 出版社/メーカー: 東京電機大学出版局
  • 発売日: 2002/07/01
  • メディア: 単行本
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関連サイトなど
ペーパープロトタイピング:実装前のユーザデータ収集 – U-Site
ペーパープロトタイプの真価 : INTERNET SHOP MASTER COURSE EXTRA
特定非営利活動法人 ヒューマンインタフェース学会 Human Interface Society