昨晩の締切攻めにて目蓋が開ききらぬまま今朝の電車と相成ったわけだがさて今日はどの感覚機関にしようか、触覚はどうか。目蓋の動きをコントロールして目の周りの触覚にフォーカスしながら生活してみよう、と決めて数分、早速の眠気に捕らわれて目蓋を閉じる。眼球をぐりぐりと動かして目蓋の裏を撫でるようにする。水晶体の薄い出っ張りが目蓋をふくらませているのがわかる。指先でそっと触れてみると、皮と肉を通じて間接的に眼球に触れる。光が入っているわけではないのに視覚に白い光を感じる。
蓋を閉じているのに見える光と、一度も見られることのない目蓋の裏側の皮膚や血管。私はこれで世界に触れている。