テーマ:レシピ本は、手順と同時に動機なのだ。
料理のレシピ本には、「そこに書いてある材料を揃えて、その手順通りに手を加えていけば、タイトルや写真のようなものが作れる」という目的がある。それは言わば、"可視化された「手順」"だ。
しかし、その通りの材料を揃えられなくても、人はレシピからその手順のエッセンスを抽出して、写真やタイトルとは違うけれども美味しい料理を作る事が出来る。これは"可視化されない「手順」"を人がイメージしたということだ。
またさらに、冷蔵庫にたまたまあった材料を寄せ集めて、何かおいしい料理を作りたいときに、レシピの集まった本を眺める事で、良い調理法を思いつく事がある。
この時、レシピは「手順」ではなく、食材と食材、食材と調理法の結びつきの「動機」となる。
人のイマジネーションは、レシピから決められた手順をなぞって調理するだけではなく、ブリコラージュでおいしい料理を生み出すことができる。
レシピ自体には味はないけれど、実は二度も三度も、もしかしたらずっと美味しいものなのだ。