2006-12-16 世界 言葉 読者 txt ランダムな乱数の濁流に、小さな船のへりを持ち、ようやっとしがみついて耐えている。 積荷は波立つ揺れのせいで全部ほおり出されてしまった。着の身着のまま、ただただ漂っている。 まわりには誰もいないしその気配もない。 たよりないかけ声で"誰か"を呼ぶ。あてどない視線で"誰か"を希求する。 おお、という発語:それは"誰か"との間にある境界を、くぐる/クロスする時に聞こえる価値の表現だ。 そしてその"誰か"はvoidの中という"無い"場所にありながら、実際に存在する誰かなのだ。