五里霧中な世界の疾走
いや迷走
混雑した高速道路
オレンジの灯りはただただ等間隔に
照らしだすボンネット
前方のパイプから発する排気が
胸をしめつけて
呼吸が苦しい
何も話さないドライバー
沈黙の車内で流れるネオンを
じっと追うことしかできない
さっきまでのことばが
行き場を失い彷徨っている
ふたりのこころは通じない
ただただ疾走するだけで
この世界は完結している
何度も通り過ぎたドライブインの
いやに明るい照明だけが
やすらぎを与えてくれるなどと
悲しいではないか
激しい消耗と激突の恐怖に怯えながら
それでも疾走する衝動を押さえきれない
そっとたちあらわれた霧が
包み込む高速道路に
ヘッドライトは半分壊れている
膝にのせたまま動かない掌が
じっとりスカートの裾を湿らせる
このまま気を失ってしまいたい
いっそのこと