チャイムが鳴り、仕事関連の宅配便かと思って、遅寝した朝の辛い体を寝床からグラリと起こして、京町屋独特の長細い建家の階上から玄関まで、引き摺り歩きながら上着を羽織り跳ねた髪を手櫛で整え出ていったら、やおら、アルミのバケツを手にした上下藍色のもんぺ姿の小柄な少女二名が目の前に飛び込んできて、
『山科の某園から来ました、修行でトイレ掃除をさせていただいてます!』
と言う。
一瞬 頭の中で"シュギョー"という音の意味が掴めず空白になる。
小首をかしげ、ぱ、ぱーどぅん?あいキャントげっワッちゅーミーン…という目線を投げ掛けるも、無言でキラキラした目で見つめかえすだけの少女たち。
アァいじめちゃいけない人だな と判断し、
『の、のーせんきゅー…。』
…あ、うん、トイレにはそれはそれは綺麗ななにか様がいるんやったねぇ。ウチもかわりにこのいたいけな少女達にトイレ掃除してもろて、これでウチもべっぴんさん、…ってなんでやねん\(^o^)/
…布団に戻って、トロトロとした頭でiPhoneを開き、某園の来歴を調べてみたら、最近の人らみたいやね。
少なくともわたしの脳内メモリ(短期記憶部門)は掃除されたよ。キレイキレイ。
ありがとうありがとう。