街中では、そんな二者の軋轢問題が起こっているらしいよ(全然経緯をしらないけど、はてブななめ読みで知った)。
そこで、"システムエンジニアvsデザイナー"、みたいな単語をみかけて、その構図はとっても悲しいなと思ったので反応します。
デザイナーってのが、カッコつけるデザインなのか構造デザインなのかで随分違うけど、、、。
私は、どちらの立場も見る事が出来る。IAMASに行って1番よかった点はそこかもしれない。IAMASに居る人たちは、デザインのわかるエンジニアか、プログラムがかけるデザイナーか、アルゴリズムが作品だというアーティストが多かったから、ここでいう二者の合間に位置する技術や興味を持つ人たちだったんだ。
私の、コンピュータシステムに対する知識量と適性は それを仕事にしている人よりは随分少ないけれど、少なくともエンジニアと対話ができるスキルはある。大事にしているプライドのありかも知っているし、その大変なところを知っているので尊敬できるし、対話の経験の中から相手の語彙も勉強している。これはかなり自慢できるスキルだと思ってる。"依頼"じゃなくて"対話"できる、これはとても重要なポイント。
"システムエンジニアvsデザイナー"ってあるよね、と思っている人は、とにかく、世界のどこでも通じると思って話していた言語が、全く通じないことがあるというのを実感してほしい。私も、IAMASでは、まず最初にその壁にぶちあたって乗り越えるのに時間を要した。自分の言葉は常識的だと思いすぎていたのだ。
高校から大学に入って専門性の高い分野に入った場合、例えば研究室などの環境ではその分野のジャーゴンを日常語のように使う。また、学校を卒業した後も、専門性の高い分野であればあるほど そのジャーゴンを使う人たちの集まるコミュニティに属する事が多い。そうしていると、自分の言語(≒価値観)は、どこでも通じる常識なのだと誤解してしまうのだ。
だから思う。『ことばが通じないなんて、常識知らずで、野蛮だ。』と。
しかし、これは言い換えてみると『(自分の専門的分野での)常識(という価値観)を理解できないなんて、野蛮でダサい』という意味だ。
この恥ずかしい思い込みは、コミュニティの外に出る事の多い人は早めに気付くのだが、一生気付かずにジャーゴンを話して生きていく人もいるのだ。
しかし、『We Must Collaborate.』という価値観の現情勢では、そうはいかない。ウェブ業界なんかは、特にね。
じゃあどうすればいいんだろう。
きっと、対話するための言語を、話し合いの中でともに作っていくしかないと思う。
提案としては、金銭的な利害関係の無い異業種の人との関係をつくり、一度、お互いの「やってみたかったけど技術や知識が足りずにできなかったこと」に対して、その技術や知識を無償で提供し合うプロジェクトをやってみればいいと思う。1プロジェクトずつ、どちらかが完全な主導権を持って2回。
その中で、「え、こんな細かいことにこだわっているのか」とか「え、これを気にせずすっとばしちゃうとかアリなの?」など、そのプロ意識の発揮されるポイントが違うだけなんだ、って気付くから。
もちろん、いらだったりする事もあると思う。でも、それを徐々に積み重ねて擦り合わせていけば、きっと対話は可能なはずだ。私はそう思う。
誰しも、自分の正義や理にかなったことを実現しようと思っている。少なくとも私はそう信じている。だから、相手の正義や理を知りたいと願う。時にどうしても自分の正義や理とぶつかるときは、思いっきり討論したらいい。その会話の中から、新しい言語が生まれるのだ。
どうか、互いをステレオタイプのイメージ、もしくは 喰わず嫌いで、見下し合ったり貶しあったりしないでほしいと願う。抽象的なネット上の議論だと、極端な構図になるので心が痛む。まだ事態はそんな流れにはなっていないけれど、過剰に心配してしまう。
こういう軋轢が重なって、ひいてはバッド・プロダクトが生み出されていくんだよ、、、。
まとめ:
"システムエンジニアvsデザイナー"ではなく、"システムエンジニアandデザイナー""システムエンジニア+デザイナー""システムエンジニア×デザイナー"という関係を築きたい。
Web標準って、こういう価値観をつくるための基礎になりえる可能性を秘めているのに、対立構造の単語が出てきてしまうのは残念だな。
私は、自分自身のなかに、"システムエンジニア"と"デザイナー"どちらもがいて、話し合ってベストソリューションを出していける人になれるように努力したい。