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物語の終わりのその先にある暗闇

冬の夜ひとりの旅人が (ちくま文庫)冬の夜ひとりの旅人が (ちくま文庫)
作者: イタロカルヴィーノ, Italo Calvino, 脇功
出版社/メーカー: 筑摩書房
発売日: 1995/10
メディア: 文庫
完読。電車の中でラストを読んだのだが、おもわずグッときてしまった。
目頭を抑えて花粉症のフリをした。ぐすんぐすん。

あらゆる物語が伝える究極的な意味には二つの面があるのです。生命の連続性と、死の不可避性です。
文庫版 第十一章/P359 L7-9

一文で読めば当たり前の文章なんだけど、一通り読んだ後のこれは、強烈すぎるパンチ。
私のメンタリティ(というか製作のスタンス)は、10章と11章の間「いかなる物語がそこに結末を迎えるか?」のような、必要なものだけ残して邪魔なものを消して行って、最期には全て消える。そして、滅私。という感じ。何をどのようにしていても、そういう方向へと向かって行く。
【死の不可避性】、これを「失う」という語に転化する。そこで発生するゴリゴリのニヒリズムと細いセンチメンタリズムが、うまく同居しないという苦が私のポエジイ。


カルヴィーノはそういうエンディングにはしなかった(ように読めた)。それが嬉しかった。
私の出来ない事をすぱっとやってくれる。私にもできるのではないかと思った。


この作品は、私が作品を作ってしまう原因となるものを見事に表出している(ように読めた)。
他の著作も読みたいけど、この本をもう一回読み直さなければなるまい。