歯の治療はつづく。今日は劣化した奥歯の詰め物を新しく詰め直すらしく、歯の型をとった。
型どりには樹脂を噛む。やわらかーく練られた樹脂の触感と、じょじょに固まって行く過程。おげげげげ、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!
泣きそうな気分の私に歯科衛生士のお姉さんが言う。「はいじゃあ仮止めしていきますねー」
これが悲劇の序章だとは。
「ん?」接着剤のような香りが口内に広がる。むちゃむちゃ臭い。すぐに匂いは去るのかと思えば、いっこうに消えない。だんだん気分が悪くなってくる。「あかん、ほんまに吐きそう」と気分は空ろ。
「はいっ、まだ口閉じない!」と言われるも、閉じて行くのは心だよ。結局最期まで接着剤臭が口内から消えることがなく、今に至る。
まだ気分が悪い。