電車で読んでいた。がたんと揺れた。はずみで書店のくるみカバーが外れて、つるんと手から離れる。
椅子に掛けているサラリーマンと、隣に立つ学生さんの目前をくるくる舞い飛ぶ。その距離約2M。
ぱさん。
揺れた拍子とはいえ、飛びすぎた。不可解な目で見つめる学生さん。
周囲、しばしの静寂。
天使が通るってのは、あの絶妙な間合いのことを言うんだろうなぁ。
少しして、学生さんが拾ってくれる。「わ。わ。すみませんっ!、、、ありがとうございます。」
非常に気恥ずかしい。なんであんなに飛んだんだろう。
三編が入っているうちのひとつめ、「一角獣」を完読。ヤバい、泣く。いや、泣いてないけど。
リアルだ。リアルすぎて困る。もろもろシンクロして、家までの道すがら、足がフラフラになってた。
『一角獣』では自分を映すカーブミラーが<街中の目>と名付けられて登場する。iPodでHARCOの『カーブミラー』を聞きながら読んでたのでビビる。
家路でカーブミラーを見つめてしまう。こっちを見ている自分の目。目の中に映る自分の姿。その目の中には何が映ってますか。
対角線!対角線!対角線!
月を覆う雲から漏れい出る光、交点のない対称線、歩き続ける・横向かず。
これでまた作品が作れる様になるのかな。
距離は何に比例するのだっけ。