風邪をもらってしまった。梅田の夜のヒトゴミとクーラーが原因か。
風邪薬を飲む。
よく効くといわれた。
しかしまぁ、効き過ぎだ。ふわふわ。
世界認識のオリジナルランゲージが揺らぐ。それは疑ってはいけない。いけないぞ。
全てが単一化された素面の主体、さらには粒子。取り出せ、万年筆を。
ソファに黒ノート、脳の中央が真空に感じる。こういう時は書くとよい。
波打ち際のうたかた、のらくらの切れ味。周縁のさらに周縁に立ち入るには病のチャンネルが都合良い。
今こそ。
オバの在り方についてノートを書いている。
歴史に記述されない、行為の執行者・寄り添う者について考える。
オバは、例えていわく「受容体」であり、ウツワに似る。
その働き(お勤め)は、ためること、整えること。かわりに傷を受け、濾過すること。
オバは、世界の全ての言葉を、我が子の発した語のように聞く者。
子の語をその身に染み込ませ、受け止め、ウツツへの皮膜として、しばしの間滞留させる。傷がわりのお勤めを果たされるオバの尊い力。
オバは母ではない。
母は、垣根越えする美神、伝令の声。その声を聞くために働く母に、オバは寄り添う者としてある。
オバの瞳に心が吸い込まれる。
濾過し残された澱みは、貴女をどのように蝕むのか、あるいは、励ますのか。
言葉を持たないオバに、どのように会えばよいのだろうか。
蟹と無重力からの展開。
母のひとことが、橋を組みかえ、蟹は糸へと姿を変える。糸の蟹は川をこえた向こうの野原に到達し、そこから天に昇って反物の一部となる。