九月の中旬より二週間かけて、ドクメンタ12、ベネチアビエンナーレ、フランクフルト現代美術館に行ってきました。
一気にまとめるのは大変なので、ちょっとづつ行きたいと思います。
今日はDocumenta 12@Kasselの報告1です。
Documenta 12
http://www.documenta12.de/
今回のディレクターは、Roger M. BuergelさんとそのパートナーのRuth Noackさん。
「Is modernity our antiquity? / 我々にとって近代美術は過去の文化か?」
「What is bare life? / むきだしの生とは何か?」
「Education, what is to be done? / 美の教育、何をすべきか?」
美術の持つ政治性、今日の世界情勢など、コンテンポラリーな問題系にアプローチしていて、ものすごーく真面目な展示プランでした。しかし、あまりに真面目過ぎて、観客に展示空間のコンテキストを「読む」ことを強いており、鑑賞にはある程度の知性と忍耐力を要するので、お祭り気分で観に来た人にはちょっと重苦しく感じたかもしれません。
私は好きです、真面目な展示。
作家ひとりひとりの作品自体にフォーカスをあてるのではなく、その並びや位置で新しい意味を発生させる、キュレーション主導の展示であり、作家の側からしたらあまり気分の良いものではなかったかもしれません。
私自身としては、こういう世界規模の合同展覧会の場合はキュレーターのための展示になるのは必然だと思うのでそんなに問題には感じませんでした。
以下は、誰かのUPしてくれた素敵な写真集:http://www.hellokassel.de/index-fotos.html をご覧頂きながらだとより分かりやすいかもしれません。
数名の作家が、展示の方向性を指し示すキーポイントに使われていたと思います。
Mary Kelly、John McCracken、あとはKerry James Marshall。この3人は各会場で頻出していました。
Mary Kelly(写真)は達者な表現力と柔軟なメディア選択が印象的で「うまい」と思わず口をついて出てしまいました。いきすぎないフェミニズムというキャッチフレーズを勝手につけました。
Mary Kelly (Contemporary Artists)
- 作者: Mary Kelly
- 出版社/メーカー: Phaidon Press
- 発売日: 1997/10/23
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Kerry James Marshallは肌の真っ黒な人間の絵を描きます。にやっとこちらを見つめる目の白目と黒目のコントラストが、今回の展覧会の鍵ともいえるかもしれません。
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くせものはJohn McCrackenの存在です。各会場のあらゆる場所に登場するつるっとしたテクスチュアの幾何形体のオブジェ(こんなかんじの→http://www.davidzwirner.com/publication_5.htm)。一点のみをみるとつまらない(失礼!でも本当にそう思うから)ものです。しかし、展示会場で相対的に見ると全然違った意味としてこちらに何か解釈を迫ってくるのです。あまりの頻出に腹立たしい気分にもなりましたが、彼の作品をどう位置づけるかが、今回のDocumentaのキーテーマのひとつ「Is modernity our antiquity? / 我々にとって近代美術は過去の文化か?」にたいする各人の解答になるのでしょう。
あとは、Bela Kolarova(参考画像http://img.aftonbladet.se/kultur/0706/20/kolarova210.jpg)やLouise Lawlerなどが印象的な立ち位置で扱われていました。
たくさん作品を展示しているというわけではなく印象的に使われていたのは、こちらを見つめる赤い唇の女性「Betty」たった一点のみが飾られていたGerhard Richterでした。
大御所的扱いで光っていたのはTrisha Brownです。いわずもがな、品質と精神性の高さが群を抜いてよかったです。
個人的に大注目だったのは、Luis Jacobです。1970年ペルー生 現在トロントを中心に活動する作家です。
http://darylvocat.com/luis.htm
美術館の大きな部屋を一つ与えられており(破格の扱い!)その壁面では"美術の歴史の切り抜きアルバム"という感じのAlbum IIIという作品が並んでいました。そして部屋の中央にはスクリーンがあり、プロジェクターでA Dance For Those of Us Whose Hearts Have Turned to Ice...というダンスを収めた映像が流れていました。スクリーンの足下には二台のモニターが置いてあり、そこでは二名の女性が手話で何かを話しています。
この映像作品が良かった。私の独断ですが、Documenta12では一番良い作品なのではないかと思います。多分多くの人がその才能に気付いたと思うので、その作品が日本に来るのも時間の問題かも。
その他に気になった作家としては、Simon Wachsmuth(インスタレーション)、Nedko Solakov(絵本的イラストと文章)、Imogen Stidworthy(映像と電光掲示板を使ったインスタレーション)、Xie Nanxing(絵画)、Eleanor Antin(中世英国の時代劇自作自演系写真+映像)などがいます。
(報告続きます、今日はここまで。)