Fredric Jameson
1934年米国生まれ。デューク大学の比較文学担当教授。英語圏におけるもっとも著名なマルクス派の論客。著書に「政治的無意識」「時間の種子」「近代という不思議」など。
現実のイメージ化と時間の断片化。ポストモダンの2大特徴はマスメディアの肥大化・情報システムの加速化と相俟って、われわれを歴史的記憶喪失にする。ポストモダンの現状を見据えつつ、その病弊を剔出した考察。
- 作者: フレドリックジェイムスン,Fredric Jameson,合庭惇,秦邦生,河野真太郎
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2006/08/01
- メディア: 単行本
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何故急に?
というのも、、、。
特別付録・自著解説小冊子/全冊奥付に著者検印。
- 作者: 大江健三郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/12/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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小説作者:「ところできみと塙吾良の「おかしな二人組」で、師匠格の吾良から弟子格のきみが教育された、その核心は何だと思う?」
長江古義人:「作中人物の私に、それを聞くのかい? 私が知ってること、私が小説のなかでしゃべったり考えたりすることすべて、きみが構想し、きみが書いたものじゃないのか?」
小説作者:「そうだよ。しかしその僕の書き方がさ、作中人物のモデルの小説家である僕、そして友人の映画監督の、実際の両者の関係を、小説では単純化してしまっているのじゃないか、そう思うことがあるのでね。もしきみが、小説の側の人物として、この両者が現実に生きた相互関係はもっと複雑だったのじゃないかと疑う。そういう部分があったならば知りたい、と思ってね。」
<特別付録・自著解説小冊子『長江古義人と小説作者の対話』より>
この「おかしな二人組」という言葉が気になっていて、調べてみたんですよ。
「Pseudo-Couple」というのは、ベケットが『名づけえぬもの』で使った言葉をフレドリック・ジェイムソンがウィンダム・ルイス論の中で近代文学史に拡大応用した概念だということでした。
(参照元)東京大学大学院総合文化研究科 言語情報科学専攻のシラバス http://gamp.c.u-tokyo.ac.jp/timetable/110930.html
そしてまた、LondonReviewOfBooksのFredric Jamesonが書いた大江作品への評論にもその言葉を発見しました。
LondonReviewOfBooks「Pseudo-Couple」Fredric Jameson
http://www.lrb.co.uk/v25/n22/jame02_.html(ログインしないと最後まで読めませんが)
語彙
Pseudo-Coupleというのは、スードウカップル/翻訳すると「疑似カップル」みたいな感じかしら。
pseudo- /su:d(oH) | s(j)u:d?H/ [連結形](uは上に二点つきます)
「偽りの」「仮の」「擬似の」の意 (参照: quasi-)
pseudoclassic(al) 擬古典的な.
pseudoscience えせ科学.
その二人を見る者に、アナロジカルに何かが見て取れる関係性:
Aさんが恋人と別れた喪失感に頭を抱えている Bさんが割れたワイングラスで指を切って傷みを感じている
ところで余談。
フレドリック・ジェイムスンって調べたら、いの一番に「公安9課、再び STAND ALONE COMPLEX」攻殻SAC第26話の、図書館でのアオイ君の例のセリフが出てきて思わず吹いた。
アオイ「イエス。そして僕は消滅する媒介者となった。あたかも新作を発表しない事でその存在を誇張されてしまう作家のように。つまりそれは消滅する事によって社会システムの動態を規定する媒体であり、最終的にはシステムの内側にも外側にもその存在の痕跡をとどめない」
素子「フレデリック・ジェイムスン」
アオイ「イエス。でもノー。後者は大澤真幸。言葉では知っていても実際に目の当たりにするまでは信じられなかった。オリジナルの不在がオリジナル無きコピーを作り出してしまうなんてね。あなただったらあの現象をなんて名づけますか」
素子「STAND ALONE COMPLEX」
アオイ「イエス。STAND ALONE COMPLEX。