村上隆氏とナルミヤが和解 イラスト著作権めぐる訴訟
大手子供服メーカー「ナルミヤ・インターナショナル」(東京都港区)のキャラクター「マウスくん」が自分の著作物「DOB君」に酷似し、著作権を侵害されているとして、現代美術家村上隆さんが同社に損害賠償などを求めた訴訟は、ナルミヤが和解金を支払うことなどを条件に24日、東京地裁で和解した。
両者の関係者によると、ほかの和解条項は、ナルミヤが遺憾の意を表すことや、知的財産権を尊重し社内のコンプライアンス体制を確立することなど。
4種類のイラストが著作権侵害かどうか争われ、裁判所はうち3種類について「DOB君」との類似性を認める判断を示した上で、和解を勧告していたという。(共同通信) - 4月24日20時55分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060424-00000230-kyodo-soci
和解金は約4000万円とのこと。
村上氏側のコメント Kaikai kikiのウェブページ
http://www.kaikaikiki.co.jp/news/list/murakamis_lawsuit/
東さんの反応
kajougenron : hiroki azuma blog: 村上隆と知的財産権
http://www.hirokiazuma.com/archives/000214.html
『おれはおまえのパパじゃない』の中の人の反応
著作権とお金とアートをめぐるお話し
http://d.hatena.ne.jp/kowagari/20060425/1145953254
参考資料
ねずみーマウスflash
http://yogatori.com/movies/guitarist/nezumi.htm
著作権法◆http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html
CC◆http://creativecommons.org/license/?lang=ja
個人的な印象:
これが新しいコンセプトの打ち出しだったら「まじでー?オリジナル発言劇ってやつですか?おもしろー!」と笑って楽しめるかもしれませんが、そうも見えないので、どうなんだろ、と思い、はてブで注目の記事を読んでみました。
以下、雑観。
私がその作品を好きか嫌いかに関わらず、その作品の美術という分野における価値のありかについては感情抜きで理解ができるつもりです。
この問題において、私がひっかかっているのは、この二匹が似てる似てないという点ではありません。
そもそもこのDoB君の誕生した土壌には、ディズニーやなにやのインスパイヤがあって(指の色や数を見よ)、"それを「わざとやっちゃいましたよー」っていうコンセプト"に、芸術という分野における価値があった訳でしょ。
実際、私には、キャラクターの顔かたちには、芸術という分野における価値は(ほぼ)感じられなかった。
さらに、"「そのキャラクターを商業ベースにのせる」というコンセプト"には芸術と言う分野においての価値があったけど、そのキャラクターでなければならない必然性(意味や価値)については、また別に検討されるべき問題だと思っていた。(前述の通り、私にはその価値は感じられなかった。 もちろんそのキャラクターに愛着を感じる人に取っては意味が有ると思うので、このあたりは要検討ですが)
実際にマーケットが動いていくための、金銭と交換可能な価値は"「そのキャラクターの意匠」の著作権"にあるわけだし、それを守るための動きをすることを否定はしないです。
しかし、このDoB君というキャラクター自体が、芸術という分野における保護されるべき価値だという含みをもってしまう発言はどうかと思いました。
これではただの無粋になってしまいはしませんかね。
「それは、ビジネスですよねえ?」
"美術だから"というフレームがなくなってしまったDoB君にまつわるビジネスは、今後デズニー等に訴えられたら、お金を払わなくてはいけなくなる立場になりうるわけですよね。
搾取側に回るというのはそういう事なのか、と今更ながら実感。
もともと商業的な価値を茶化す立場が評価されていたのにね。
お金、でしょうか。
感情論:
"コンテンポラリーアートの終わり"という影の落ちるスピードが加速する、幕引きの契機になりはしないかと不安です。
もうちょっと緩慢な収束へ向かってじわりじわりといくのが希望なんだけれども。。。
そうじゃないと、派生や組み直し、再利用ができないでしょう。。。