- 作者: 吉田篤弘,坂本真典
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
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最近読書ペースが落ちていて、積ん読タワーが大変な事になっているのだが、枕元に崩れて落ちた中から取り出した、この本。
前なら吉田作品は買ってすぐに最後まで読破していたのだが、ここのところ新刊リリースラッシュだったので、まだ手をつけられていなかったのだ。あと、正直「78」が、あまり好きではなかった、ので、ちょっと読み控えていたということもあった。
「78」があまり好きになれなかった理由は、明快でアメリカンな印象だったから。(*1 薄紫のペラッとした膜(注:私の勝手なイメージ)が張っていなかったから。
私は、吉田作品の魅力は、その希薄な膜(注:イメージ)にあると思っている。
イメージ解説:骨董屋の入り口で感じる結界の感じ、気圧が変わる体感、はっと息をのむ瞬間の体温、感情的でない筒型 など
この十字路のあるところは、薄紫の膜が張りまくっている。最高だ。(*2
開く度に、はっと時間が止まる。足の指の温度が少し下がる。詩の詰め将棋のような、追い込まれる気分。
小説が上手い、というのはこういうことを言うのだな、と思う。
一気に読むのは時間的に難しいので、寝る前に一話づつ読む様にしている。
いただきものの高級チョコレートを、一粒づつ楽しむ様に。
(*1 彼は詩人だ。小〜中編の切れ味が最高。アナロジーのセンスが骨董好みで、品がある。文章が長くなると、付きすぎる感じがするのかも。(あくまで個人的なイメージと希望と感想)
(*2 出典:タルホを読んでくだされ